2007.05.27(Sun)

谷崎潤一郎『細雪』
―『谷崎潤一郎集(二)』(昭和45年、筑摩書房)所収
荒筋:
昭和10年代の関西に住む蒔岡家の4姉妹の生活を描く。三女の雪子は見合いを繰り返し、次女の幸子とその夫貞之助も雪子を何とか結婚させようと手を尽くす。四女の妙子は結婚相手として蒔岡家が認められない相手と奔放に恋愛し、事件を起こす。
これも、読まなきゃ読まなきゃと思ってた一冊。
長かった…。久々に終わりが見えないという感覚を覚えました。
一応三女の雪子のお見合いが軸にはなっているけれど、基本的には姉妹の日常を綴っています。
姉妹をはじめとして、登場人物が個性的なので、誰に感情移入するかでかなり読み方が変わってくると思います。
そういう意味では、繰り返し読んでも飽きが来なさそう。
この4姉妹、正確には長女の鶴子さんを除いた3姉妹のモデルは、谷崎の3番目の奥様・松子さん姉妹だという事は有名な話。幸子の旦那・貞之助が谷崎で。
この大長編、谷崎は自分の為に書いたんだろうなぁ…
谷崎文学の中では割と人に薦めやすいというか、「普通」な話。
自分の理想の女性たちの理想的な日常をひたすら綴ったという印象。
「普通」とはいっても谷崎節はそこかしこに見受けられる。
日本の(関西の)風景の描写はとても素敵。お花見のところとか。
そして、徹底的な
関西礼賛主義。なんでも、関東と関西の空気は全然違うらしく、姉妹は関東が大嫌い。もっというと東日本全体が嫌いらしい。渋谷や青山が「場末」と表現されているのはとても驚きました。
それと、
当時の結婚観が今と全然違って、驚きました。
まず、お見合いする時にそこまで身辺調査するのか?!って事。時代が違うのは承知ですが、差別的と受け取られかねない調査も結構ある。
また、文中で幸子が「雪子さんはまだ売れてない」と言ってみたり、お見合いを「受験」と言ってみたり…まぁ、今でもうちの実家の方はそれに近い言い方しますけど、当時はそれが普通だったんだなと…こう、結婚出来ない女は日陰者みたいな。
また、当時の上流階級って、今のセレブなどとはわけが違うのもよーくわかりました。落ちぶれた蒔岡家でさえ、相当贅沢しているように見えました。だってろくに仕事してないし。
無事に雪子さんの結婚は決まって、首尾よく事は進むのだけど、何故か幸子さんは下痢が止まらない、というあの終わり方。
色々な説があるそうですが、谷崎が単に飽きただけ、とはちょっと考えにくい。家族の病気は結構絶えなかった蒔岡家、これからもこんな風に一家の日常は続いていくのですよ、という意味だとわたしは思う。
雪子さんと妙子さんの結婚生活も見たいし、成長した悦子ちゃんがどんな女の人になるのかも興味あるし、続きが読みたいなぁ。無理だけど。
>EntryTime at 2007/05/27 09:54<