2006.10.17(Tue)

生野慈朗監督作品『手紙』2006年 日本
2006年10月16日 よみうりホールにて鑑賞(試写会)
荒筋:
川崎のリサイクル工場への送迎バス。最後部座席に野球帽を目深に被った青年の姿がある。武島直貴、20歳。暗い目をしたこの青年には、人目を避ける理由があった。兄・剛志が、直貴を大学にやる学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。数度にわたる引越しと転職。兄貴がいる限り、俺の人生はハズレ。そういうこと―。自暴自棄になる直貴を、深い絶望の底から救ったのは由美子の存在だった。しかし、その幸せが再び脅かされるようになった時、直貴は決意する。…塀の中から届き続ける、この「手紙」という鎖を断ち切ってしまおうと。
ネタバレします(公開は11/3〜)。GAGAが「秋映画の泣ける三作」みたいな感じでこの『手紙』と先日試写で観た『地下鉄に乗って』、そして韓流の『Sad Movie』を宣伝していますが、
自分のお勧めは断然この『手紙』!!
(『Sad Movie』は予告編しか見てませんが、あの手のものは食傷気味なので…)
原作の力と正しい演出、あと役者の演技が予想以上に良く、力のある映画を観たなぁという印象です。
犯罪を全く新しい視点から描いていると思います。そして言い方としてふさわしくないかもしれませんが、犯罪抑止に役立ちそうな映画です。
罪自体だけでなく、連鎖していくものもまた罪で、一生償えない。罰金とか懲役とか、そのような形にならない罪って凄く重い。
当たり前の事なんだろうけど塀の中と外って全然違うんだなっていう…玉鉄演じる兄貴は優しい人で、手紙でも弟の事を心底心配してるんだけどそれはある意味一方通行というかひとりよがりというか、強い言葉で言うと自己満足に過ぎないんですよね。その自己満足に第三者が付き合ったりしてさ。そのへんのすれ違いが本当もどかしくて苦しかった。
弟が兄の’別の手紙’を読まなければそのすれ違いはずっと続いてたわけで…
犯罪って色々なものをぐにゃりと歪めてしまうんだなーって本当に思った。
東野圭吾作品ってバッドエンドというイメージが強かったので、最後の手紙が送られてきて兄貴死んじゃうんじゃないかと思いながら観てたんですが、あぁいったオチになるとは結構予想外でした。もしかしたら予告編で流れちゃってるかもしれないけど、知らないで観に行った方が絶対良い!
全篇通して感傷的になり過ぎずに描いてるのが良かった。
刑務所慰問の後、親子3人が少し映ってさっと終わるのが良い!
全体的に無駄なシーンが無い。時間の流れを忘れる。
演出も、子供達の所でほんのちょっとだけ気になったところがあったけど、あとは無かったです。
台詞も音楽もやや少なめなのでかなり演技力が要求される映画だと思うんですが、これが予想以上に良かったんです。
沢尻エリカちゃんが巧いのは知ってたのですがあとのメイン二人をよく知らなくてどうだろう?と思っていました。でも二人とも良かったなぁ。
特に玉鉄。『NANA』のすかしたタクミと同一人物とはとても思えません!びっくりするくらいの欝具合です。
圧巻だったのが刑務所慰問のシーンで、10年以上の積もった気持ちがわーっと溢れ出て、尚且つ弟の言葉で表情がどんどん変わっていくのがスクリーンからビシビシ伝わってきます。台詞無しであれ程までに表現出来る若い俳優さんって中々居ないんじゃないかな。
吹石一恵ちゃんも、事故に遭ってしまう直前の表情の演技が良かったです。
小田和正にあんなに感動するとは思わなかったです。
最初流れてきた時はん?と思ったんだけど、あの場で言葉を発する事が出来ない兄の(服役囚は慰問公演中拍手したりとか出来ないんですよね)「言葉にできない」思いなんだ、と自分は解釈しました。心憎い選曲!
でも最後の歌は不要。邦画、しかも拡大公開系としてはかなりの「力のある」映画です。
原作も読みたいです。
>EntryTime at 2006/10/17 01:08<