2007.05.28(Mon)

江國香織『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』(2003年、集英社文庫)
荒筋もとい内容:
情熱。ため息。絶望…でも、やっぱりまた誰かを好きになってしまう!恋愛は世界を循環するエネルギー。日常というフィールドを舞台に、かろやかに、大胆に、きょうも恋をする女たち。主婦。フラワーショップのオーナー、モデル、OL、編集者…etc.9人の女性たちの恋と、愛と、情事とを、ソフィスティケイトされたタッチで描く「恋愛運動小説」。
ネタバレ注意。なんとも評価の難しい作品。
ある意味非常に生々しいからなのかもしれない。作品の中に、共感するところと、嫌なところが混在している。
共感するのは、「孤独は是か非か?」という問題提起が常になされてるところ。わたしは常に悩んでいます。苦笑
登場人物の中では山岸の考え方に一番近かったけど、エミ子の喪失後の痛みも感じるものがありました。
嫌だったのは、一応主人公っぽい陶子が最後まで好きになれなかった事。なんだか、一番ずるい気がする。広尾に住んでるし、「妻ランチ」も高そうな所で食べてるし、苦労を知らなさそう。水沼さんも含めてだけど、服の選び方とか、嫌。
登場人物の誰に感情移入するかで物凄く好き嫌いや読後感が変わってくると思います。読者の性別や職業によっても変わってきそう。
22歳、社会人1年目のわたしはどうもしっくりくる人が居ませんでした。一番歳が近い桜子は論外です、見てて痛過ぎる。前述したように敢えて探すなら山岸が近いです。恋をするエネルギーなんて無い、ってところが一緒です。笑
作中で慌しく視点が入れ替わり、また登場人物も多いので何かと混乱しそうなのですが、不思議としませんでした。キャラクターの確立が成功しているからでしょうね。
うわぁ不倫かよとか、土屋有り得ないとか思いながらもページをめくる手が止まらなかったのはそれが理由かも。そういう意味では、大衆小説としてこの作品は成功しているんですね。流石直木賞作家。
あと、江國作品の常ではありますが、食べ物がとってもおいしそう。
最強は『流しのしたの骨』ですけどね。
画像だと見にくいですが文庫の表紙の絵が洒落ています。
378ページありますが、結構一気に読めちゃいますよ。
>EntryTime at 2007/05/28 19:45<